電子機器が私たちの生活に不可欠なものになっている一方で、それらが使用後にどのような影響を与えるかを考える機会は少ないかもしれません。毎年増加するコンピュータやスマートフォンなどの電子機器の廃棄物、いわゆる**電子廃棄物(E-waste)**は、深刻な環境問題を引き起こしています。
電子廃棄物の現状
近年、テクノロジーの進化が加速する一方で、古い機器はどんどん廃棄されていきます。特にスマートフォンやラップトップは数年ごとに買い替えが必要な場合も多く、その結果、電子廃棄物の量が急増しています。国際的な調査によれば、2021年に世界で排出された電子廃棄物の総量は5700万トンに達し、これは今後も増加の一途をたどると予測されています。
有害物質が環境に与える影響
電子廃棄物には鉛、カドミウム、水銀などの有害物質が含まれており、これらが適切に処理されないと、土壌や水源を汚染します。特に、廃棄物が直接埋め立てられたり、不適切に焼却されたりすると、これらの有害物質が環境中に放出されるリスクが高まります。
健康への影響
このような有害物質は、環境だけでなく、人々の健康にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。電子廃棄物を手作業で解体する作業者やその周辺に住む人々は、重金属中毒やがん、呼吸器系の病気にかかるリスクが高いとされています。
電子廃棄物のリサイクルの課題
電子廃棄物を適切に処理・リサイクルすることは環境保護の観点から非常に重要ですが、現在のリサイクル率は依然として低い状況です。特に発展途上国ではリサイクルインフラが未整備で、廃棄物が不法に投棄されるケースも少なくありません。世界全体では、電子廃棄物のうち約17%しか正式にリサイクルされていないとのデータがあります。
国際的な取り組みと課題
国際的なレベルでも、電子廃棄物の問題に取り組む動きが進んでいます。たとえば、バーゼル条約では、電子廃棄物を含む有害廃棄物の国際的な移動を規制しています。しかし、リサイクル技術の進展や意識の向上にはまだ課題が多く、先進国と発展途上国との間で廃棄物の処理における格差も大きな問題となっています。
個人ができる対策
私たち個人も、電子廃棄物の削減に貢献することができます。まず、機器を長く使うことや、必要のない買い替えを控えることで、廃棄物の発生を抑えることが可能です。また、使用しなくなった電子機器を適切にリサイクルすることで、資源を再利用し、環境への負担を軽減することも重要です。
電子廃棄物の問題は、現代社会が直面する大きな課題です。今後、テクノロジーがさらに進化していく中で、いかに持続可能な方法でこれらの機器を利用し、廃棄するかが問われています。

